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概要:分子接合技術研究センターとは

センター長 芝﨑 祐二
Greeting from the Director
センター長挨拶

ゼロエミッションの時代を迎え、世界は超高効率、超省エネルギー化に向けてシステムの全面的な再構築が求められています。 同種、あるいは異種材料を重ね合わせて接合する場合、従来は強度と信頼性の観点から機械的締結や溶融接合(溶接)などが利用されてきました。住宅や土木建造物の構造部材で用いる材料は木材や金属材が主であり、上記接合法が一般的でした。 しかし現在、超高効率、超省エネルギー化社会を迎え、ポータブルデバイスを始めとして、乗用車、商用車、航空機、船舶などの輸送機器などの超々軽量化が求められています。 欧米では機械締結や接合剤を用いないレーザー表面加工接合技術が主流となっておりますが、一方で、樹脂を始めとする異種材料接合には、バイオマス由来のウレタン系接着剤が利用され、標準化されています。 これらレーザー接合、ウレタン系弾性接着技術には、耐レーザー加工性、接合強度、耐久性、過剰塗布による脆化などの課題があります。

分子接合技術(i-SB法®)は、本学で開発されたトリアジンジチオール系化合物を用いた同種、あるいは異種材料間平滑面への新しい高効率接合法であり、高い機械的強度、高い汎用性を兼ね備え、主に微細加工用途として、微細配線や3次元配線技術へと展開してまいりました。 この大学発の技術を産業に波及すべく、私どもは令和4年度に「分子接合技術研究センター」を開設、さらに令和5年度には、岩手大学、岩手県、岩手県工業技術センター、いわて産業技術振興センターとともに、「i-SB事業化プラットフォーム」を設立しました。 さらに令和6年度には、i-SB法®の深化と展開を目指した「エレクトロニクス実装部門」に加えて、新たに「グリーン接着材料研究部門」を開設しました。これまでのi-SB法®は主に微細平滑面間の接合を標的としておりましたが、これに加えて、接合・接着技術の汎用化(非平滑面への展開、大面積化)、機能化(各種環境下での安定な接着、自己修復性の付与、ガス透過性、イオン伝導性、熱伝導性、易剥離性)、グリーン化(バイオマス材料の活用、再利用性の付与)を統合した新たな技術開発を進めております。

私どもは、i-SB法®とその周辺技術のさらなる研究開発を継続し、産業界の皆様に広くご活用いただくことで、ゼロエミッション社会への貢献を目指しております。 皆様方の温かいご支援とご指導をよろしくお願い申し上げます。

分子接合技術研究センター長
芝﨑 祐二
organization chart

分子接合技術研究センター組織図

分子接合技術研究センター組織図
エレクトロニクス実装部門における分子接合技術
エレクトロニクス実装部門における
分子接合技術

分子接合技術は、エポキシやウレタン系接着剤で見られる凹凸面へのアンカー効果による一般的な接着技術とは異なり、材料表面の原子団に対して分子接合剤がアンカーボルトのように強固に結合し、材料を接合するという接触界面における化学結合の生成に原点をおいた接合技術です。

他の技術では困難な、ナノメートルオーダーの平滑な微細表面の異種材料同士においても、分子接合剤との共有結合により、強固に接合することが可能です。 そのため本技術は、直接加硫接着、めっき前処理、金型離型、薄膜電気部品、撥水コートなど、多方面での実用化が期待され、文部科学省・地域イノベーション・エコシステム形成プログラム(令和元年度~令和5年度)に採択されました。

本プログラムでは、この分子接合技術を進化させ、Beyond5Gに向けた高速伝送用基板やアンテナなどのエレクトロニクス実装分野をターゲットに、光反応性分子接合剤の開発、微細配線や三次元配線プロセス技術の開発、低伝送損失・低消費電力を実現する低誘電基板材料開発などに取り組み、強力に社会実装を推し進めてまいりました。

本部門では、分子接合技術を、主にエレクトロニクス実装分野に展開しながら、ものづくりの幅広い分野で活用可能な基盤技術へと昇華させることを目指しております。

グリーン接着材料研究部門における表面・界面制御技術
グリーン接着材料研究部門における
表面・界面制御技術

岩手大学では、分子接合技術を始めとして多くの理学、工学、農学、環境学分野の研究者が表面・界面に関わる研究を展開してまいりました。

本学の研究者がこれまで継続的に行ってきた表面・界面状態の観察、状態の物理的制御、化学的処理技術は、多方面への展開が期待される革新技術です。 これらを元に本部門では、

1) 同種あるいは異種材料間の高機能グリーン接着技術の開発
2)私たちの日常生活の質の向上を目指したグリーン材料開発、グリーンデバイス開発
を行います。

世界的なゼロエミッションを踏まえて、化石資源から完全脱却した新たな分子接合技術の開発、接着層の高度な機能化(自己修復性、高い熱伝導性、高いイオン伝導性、高いガス透過性、易剥離性などの付与)、微生物を活用した新しいバイオマス材料の開発、嚥下障害などの健康課題に対応したグリーンデバイスシステムの開発、さらにはこれらグリーンマテリアルの環境への影響を総合的に調査し、私たちが進めるグリーン化技術を産業界の皆様に安心してお使いいただける総合パッケージを提案いたします。

Major projects undertaken in the past

過去に実施した主なプロジェクト

文部科学省・地域イノベーション・エコシステム形成プログラム

「次世代分子接合技術によるエレクトロニクス実装分野への応用展開」(令和元年度~令和5年度)

内閣府・戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)

「『分子接合技術』による革新的ものづくり製造技術の研究開発」(平成26年度~平成30年度)
※ なお、SIPでは、国内唯一の「異種材料化学接着技術地方技術拠点」として認定を受ける。